『今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』(佐藤可士和著/四国タオル工業組合著/朝日新聞出版)vol.284
こんにちは、
本日の一冊は
『今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』
佐藤可士和著/四国タオル工業組合著/朝日新聞出版)です。
五秒ルール、です。
さっそく内容にいってみましょう。
「五秒ルール」
と聞いてピンと来る方は
おそらくその業界にいる方でしょう!
今治タオルの復活劇は、
地域再生ストーリーとして取り上げられているので
ご存じの方も多いでしょう。
10年前の調査では、
今治がタオルの生産地である
と知っている人は36.6%だったようですが、
2012年には認知度も
71%になっているそうです。
その間の復活劇を詳細に
知ることができるのが
この本なのだろうと思います。
ご存じの通り、
このプロジェクトを担当していた人が
佐藤可士和氏。
ブランディングの定義が本当に
腑に落ちるのです。
ブランディング=
「本質的価値」×「戦略的イメージコントロール」
明快ですね。
私も自分のやっている仕事を
ふり返ったとき、
まったく一緒だ!
と思いました。
「本質的価値」はどこかから
借りてくることなんて
できませんからね。
自分を自社を冷静に見つめ直す
ところからしか始まりません。
さらに、
戦略的にコントロールしていく
ということはその価値を自分で
「認識していないといけない」
わけです。
・価値の認識ができていない
・言語化できていない
・シンボルがない
・文脈(コンテクスト)がつながっていない
ということでは、
これからの時代を
戦っていけないということ。
成功事例のひとつとして、
その軌跡をおさえておくのは勉強になります。
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『今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』
(佐藤可士和著/四国タオル工業組合著/朝日新聞出版)<Amazonで購入>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023313394/withup-22/ref=nosim
ただし、モノづくりには転換期にある。
一定のクオリティを守りながら、なおかつ存在意義を
「きちんと伝える」ことを考えていかなければ、
これからの時代を乗り切ることはできない。ブランド戦略の目的はイノベーションを起こすことにある。
かつては「技術革新」と定義されていた言葉だが、
いまは「あらゆる領域で新たな価値の創造をすること」と
とらえたほうがわかりやすい。端的に言うなら、「本質的価値」×「戦略的イメージコントロール」
=「ブランディング」だと僕は考えている。「本質的価値」を他所から持ってくることは、絶対にできない。
マークのデザインに関しては、見る人にいかにストーリーを
感じさせるかがコミュニケーションのカギになる。インパクトがありながら、長く親しまれるデザインでなければ
シンボルの役目は果たさない。僕はロゴマークをつくるときに、
「五〇年後に見てもおかしくないか?」ということを必ず考える。今治でつくられたタオルであっても、一二項目からなる厳格な
品質基準をクリアしていなければ、今治タオルのロゴマークを
付けることはできない。その基準の一つに、「五秒ルール」がある。タオル片を水に浮かべて五秒以内に沈む。
これは、吸水性を確かめるための基準で、業界団体である
『日本タオル検査協会』が定めた検査基準(六〇秒)よりも
はるかに厳しい。メッセージは一つでなければならない。
「これだけのリターンが期待できます」といった聞き心地のいい
言葉を並べるだけでは、物事の真意を伝えることはできない。ブランドを「つくる」ことは難しい。しかし、もっと難しいのは
つくったブランドを「守っていく」ことだ。一日では築けないのに、一日で失うのがブランド。瞬く間に失墜した
ブランドには、共通することがある。それは、内部から崩れたこと。海外でも認められる日本の価値は、いくつも思い浮かぶ。
ところが、それらをつなげるコンテクスト(文脈)がない。「日本製」というのはプロダクトの情報であってブランドではない。
参照:
『今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』
(佐藤可士和著/四国タオル工業組合著/朝日新聞出版)
<Amazonで購入>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023313394/withup-22/ref=nosim
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というわけで、
▼「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!
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├○ 価値をつなげてメッセージを投げているか?
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佐藤可士和さんって、
比喩もすごくうまい方ですね。
どんな業界にいても、
第一線で活躍する方の条件は、
「わかりやすく伝える力を持っている」
ということに尽きる気がします。
比喩がうまい人には、
「本質をとらえる能力がある」
ということです。