『おいしさの表現辞典』川端晶子、淵上匠子編集 vol.56
こんにちは、
本日の一冊は、
『おいしさの表現辞典』川端晶子、淵上匠子編集です。
「おいしい」だけでは素人です。
先日、ある人の表現力に舌を巻きました。
「これは、黄色い実の酸っぱさ」
「これは、赤い実の酸っぱさ」
「これは、すみれを塩漬けにしたような味」
はっきりいって、
やや理解不能な世界に突入していきました。
「ドライフルーツのような味がするよね~」
と応戦してみたものの、
「葡萄は葡萄でも『巨峰の干しブドウ』かな」
と。
味に関して鋭敏なことこの上なし!
思わず、帰って書棚から引っ張ってきたのが
『おいしさの表現辞典』です。
350冊の文学作品、エッセイや新聞などから
集めた「おいしさ表現」のラインナップ!
約3000の用例が抜粋してあります。
あらためて、作家と呼ばれる人たちの
表現力にお腹がすくことこの上なしです。
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『おいしさの表現辞典』(川端晶子、淵上匠子編集/東京堂出版)<Amazonで購入>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4490106947/withup-22/ref=nosimすなわち、「おいしさ」は五感すべてと、さらに味わう人の
生理的、心理的状況や環境、文化などがかかわっており、
これらの相互作用によって創出されるのである。共感覚表現とは、五感の間のことばのやり取りであり、
共通感覚がことばに現れた現象である。【イクラ丼】
びっしり敷きつめたイクラの下敷きになって
米粒が行方不明、というイクラ丼。(荻野アンナ/食べる女)このように米の名前は、大きく分けてカタカナ書きと
ひらがな書きがあるが、一定の決まりがあることは
あまり知られていない。カタカナ名(例/コシヒカリ、ササニシキ、
ヒノヒカリ)は、農林水産省の事業で開発した品種、
ひらがな名(例/あきたこまち、きらら397、はえぬき)は、
県の農業試験場で開発した品種である。【ヒジキの煮方】
ヒジキの煮方については、そのころの記憶があったのか
私自身の発案なのか、よく思い出せない。…ひとつだけ
コツがあって、梅干をいくつか丸いまま投げこんで煮る。
最後には、この梅干は捨ててもよい。それが底味となる。
(吉行淳之介/贋食物誌)【梨】
・・・ショリショリというか、シャリシャリというか、
歯にコツコツ当たるような、かすかな衝突感。
(東海林さだお/鯛ヤキの丸かじり)【葡萄】
僕は歩きながら葡萄を食べ、皮と種を地面に吹いて捨てた。
瑞々しい味の葡萄だった。(村上春樹/ノルウェイの森 下)【山椒】
なんとなく日本の山の緑の匂いを漂わせ、
新鮮さと淡い辛さを持つことは、
日本料理と絶妙に呼吸のあった相性である・・・。
(小泉武夫/食の世界遺産)【湯気】
湯気は人の心をほのぼのと温かくする。(東海林さだお/タクアンの丸かじり)参照:
『おいしさの表現辞典』(川端晶子、淵上匠子編集/東京堂出版)<Amazonで購入>
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というわけで、
●「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!
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「五感」を言語化する。
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冒頭に「食べもののおいしさが成立する要素」
の図表が掲載されています。
このロジックツリーはかなり面白いです。
味覚、臭覚、触覚、視覚、聴覚からブレイクダウン
して考えていた私はびっくりしました。
なんとこれらが最下層にきています!
ちなみに上から二階層目が化学的要素、
物理的要素、生理的要素、心理的要素、
先天的要素、後天的要素、環境的要素です。
ビジネスの見飽きたロジックツリーよりも
わくわくして五感を刺激されます^^
「おいしさ」と「人間心理」がどのように
影響しあっているのか一目でわかります。
ということで、「おいしい」以外の表現バリエーションを
しっかり磨いておきたいと思います。