『孫子が指揮する太平洋戦争』(前原清隆著/文藝春秋)vol.311
こんにちは、
本日の一冊は
『孫子が指揮する太平洋戦争』(前原清隆著/文藝春秋)です。
兵站(へいたん)、です。
今日の本は正直、
取り上げようかどうしようか
とても迷いました。
ただ、最近会う人には、
「これ、読んでおいた方がいい」
とおすすめしている私。
なのに、
毎週発行している
メルマガでお伝えしないのは
おかしいのでは?
と思ったのでやはり紹介します。
今年は戦後70周年。
テレビでも特集がたくさん組まれていますね。
今年3月に戦艦「武蔵」が
シブヤン海で発見されたことは
記憶に新しいです。
発見者がアメリカのマイクロソフト社の
共同創業者であるポール・アレン氏だったこともあり、
大変なニュースになりました。
今回の著者は元陸自であり、
孫子研究家の方が書いた兵法分析の書。
太平洋戦争のことを、
あまりにも知らな過ぎて恥ずかしくなりました。
これは永久保存版です。
こんなに詳しく、
そしてわかりやすく、
孫子とからめて解説している書に
私は目が覚めてしまいました。
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『孫子が指揮する太平洋戦争』(前原清隆著/文藝春秋)<Amazonで購入>
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「戦略」より上位に、「戦理」(プリンシパル:principle)がある。これは、
企業なら「企業理念」であり、国家なら政策を決定付ける
「国家理念」であり、戦争の場合は「大義名分」と言っていい。
(略)ピラミッドを下から支えるのが「兵站」(ロジスティクス:logistics)と
「情報」(インテリジェンス:intelligence)である。
兵站は後方支援とも言われ、物資の輸送と補給、兵士と兵器の補充、
兵士の健康管理など、軍が戦うためのあらゆるサポート業務が入る。
この兵站と情報の軽視は、真珠湾攻撃に限らず、その後の戦争の
あらゆる場面で日本軍を苦しめることになった。
周知のように、日本側からアメリカへの宣戦布告通報は、
ワシントン駐在大使館員の不手際により、当初予定時間より
1時間20分も遅れた。その結果、日本は「騙し討ち」の汚名を
浴びせられ、厭戦気分にあった米国国民を奮い立たせてしまった。
戦略が間違っていたら、どんなに個々の作戦や戦術で
勝利しても、最終的には勝てないということだ。
戦争というのは、攻撃を仕掛ける側より、待ち構えてそれを
撃つ側の方が有利である。しかも、アメリカ側は、暗号解読により、
日本の主目標がミッドウェーであり、アリューシャン方面は
陽動とまで看破して、連合艦隊を待ち構えていた。
なにしろ、帝国海軍は、撃墜した敵機からアメリカ兵士を救助して
尋問するまで、交戦中の敵空母の名前すら知らなかったのである。
敵戦力とイーブンになるポイント、そこが攻撃終末点である。
孫子は「兵站」を最重要視している。
「将の五徳」を平たく述べると、「智」(知恵があること)、
「信」(人から信頼されること)、「仁」(いたわりの心があること)、
「勇」(勇気があること)、「厳」(厳しさがあること)となるが、
残念ながら、日本の軍組織では、こうしたリーダーシップを備えた
人間は、組織のトップにほぼいなかった。
太平洋戦争で死亡した日本兵は、半数以上が餓死と
されるのは、このためである。
参照:
『孫子が指揮する太平洋戦争』(前原清隆著/文藝春秋)
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というわけで、
▼「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!
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├○
├○ 戦略は「命」に直結する。
├○
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とても感心できないリーダーの実像が
淡々と書かれている中で、数少ないですが
「名将」が出てきます。
これはもうご自身の手にとって、
お読みいただくしかありません。
自分がそのとき、
そんな状況に置かれたら
どういう行動をとるか?
自分を正しい方向へ動かすために
必要なものは何なのか?
かみしめて読みたい本です。