『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』妹尾 堅一郎著 vol.94
こんにちは、
本日の一冊は
『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』
妹尾 堅一郎著です。
立国にあらず、です。
技術で勝っても、事業で負ける。
技術で勝って、知財権をとっても、事業で負ける。
技術で勝って、国際標準をとっても、事業で負ける。
なぜか?
この問題提起について
真摯に答えてくれる一冊。
製造業だけではなく、システム業界、コンテンツ業界など
あらゆる人たちが目を覚まされることでしょう。
その操縦席に座るのはだれか?
です。
危機感いっぱい。
著者、妹尾氏(東京大学特任教授 知財資産経営)の
悲鳴にも似た声が行間から伝わってきます。
一回読んで理解できる人は相当スマートな方でしょう。
私は、年末から年始にむけてもう一度
読み直すつもりです。
とてもひとりで受け止めきれない。
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『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』(妹尾 堅一郎著/ダイヤモンド社)<Amazonで購入>
http://amzn.to/iiW5kXつまり、「米国に何が起こり、日本に何が起こらなかったか」
が重要なのです。従来のようにインベンション(発明、技術開発)と
イノベーション(価値の創新)が同じであった時代は去ったのです。第一原則:
従来モデルの改善をいくら突き進めても、イノベーションは起こらない第二原則:
イノベーションモデルは従来モデルを駆逐し、
その生産性向上努力を無にする基幹部分を押さえて、そこから「完成品」を支配する
「インテル・インサイド型」。反対に「完成品」をイメージして
その枠の中で部品群を支配する「アップル・アウトサイド型」。ハイブリッドカーは、いわば延命策としての「つなぎ」に見えます。
そして皮肉なことに、ハイブリッドカーの性能が上がるということは、
実はエンジンではなくモーターの技術開発を促進します。
つまり、ハイブリッドを推進すればするほど、
実は電気自動車が近くなるのです。重要なのは充電する機器でも場所でもなく、モーターと電池を
つなぐインターフェイスのプロトコール、あるいは電池と
他の機器を結びつけるインターフェイスのプロトコールです。当初シェアが一〇〇%あっても、あるいは特許の件数が多くても、
「国際標準化によるオープン政策」が行われた途端に、
シェアが著しく下がっていくのが日本の「惨敗パターン」。オープン戦略とは、囲い込む戦略なのです。
このパラドクスを理解して欲しいところです。すなわち、インテルとアップルの違いは、
基幹部品と完成品の違いではありません。
実は両方とも「準完成品」なのです。ここがポイントです。新幹線の先頭車両の鼻部分の形状。
これも流体力学の粋を集めた技術の塊ですが、
それも特許と意匠権の両方で押さえています。すべての製品は準完成品なのです。
コンテンツ大国がコンテンツ立国になれない原因を
真摯に考えるべきときです。参照:
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というわけで、
●「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!
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目の前に「操縦桿」があるか?
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「日本の自動車産業は、15年で壊滅状態になります」
というくだりから本書は始まります。
昨今、いろんな業種、業界の方とのお付き合いが
増えている私としては、いずれのエピソードも
本当に他人事とは思えず。
出だしから心臓が止まりそうになりました。
「三位一体」型戦略の本質に
迫りたい方はぜひご一読を。
できれば読まれた後には感想をください。
何度も言いますが、
ひとりでは受け止めきれない内容です。
ええ、ほんとに。