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BOOK REVIEW書評

『「闇学」入門』(中野純著/集英社)vol.244

こんにちは、

本日の一冊は

『「闇学」入門』(中野純著/集英社)です。



『「闇学」入門』(中野純著/集英社)



ヤミ学、です。





五感が正しく働いている!





と言い切れる人が

現代にどれくらいいるでしょうか。





それを試してみたければ、

目をつぶって

硬貨をすべてあててみてください。





自分の五感の感度が

わかるはずです。



日本の夜は明るすぎる、

と思っているのは私だけではないはず。





日本人の感性はどこから育まれてきたか?





それを考えてみるには

よい機会となるでしょう。





また外国人と話す機会が増えている方にも、

これはひとつ高度なネタとして

日本を紹介するときに使えます。





歴史、戦争、教養、八百万の神、

日本人のDNAを知る一冊だと思います。

 

 

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『「闇学」入門』(中野純著/集英社)

 

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日本の文化のほとんどすべてが闇によって育まれ、日本人の感性が

闇から湧き出してきたことがわかった。



太平洋戦争の闇は、日本を異様に明るくさせた原因だった。



当時の最新技術を集めた戦艦大和も千六百灯の蛍光灯が装備された



(略)日本の伝統的な絵画にはほとんど影が描かれてこなかった。



とくにおもしろい番組でもないのにボーッと見続けている自分に気づいて、

ハッとすることがないだろうか。そんなときはテレビを見ているというよりも、

テレビを浴びているという言葉がピッタリくる。



乳癌の増加については初めは乳製品の摂取に原因があるのではと

考えられたが関連性は見出せず、夜勤の女性に乳癌が多いことに

着目して研究した結果、夜が明るくなってメラトニンの分泌が抑えられて

いることが乳癌の増加の原因だと見られるようになった。



しかもそれは女性だけの問題ではなく、男性の前立腺癌の増加も、

同じ原因によるのではないかとしている。



人間にとって視覚は五感の圧倒的な主役で、人間は五感で得る

情報の八割以上を視覚で得るといわれている。



目の前のピントを合わせているところ以外はすべて「闇」なのだ。

その意味で、むしろ明るい現代の都市生活のほうが、よっぽど

ものが見えていないし、見ていない。



夜の闇こそ、私たちにものを見ることを意識させ、

ものを見る心を養うのだ。



たとえば、花は鼻で楽しむ。



もともと超高感度な手の指は、闇の中でさらに研ぎ澄まされる。



硬貨は闇対応なのだ。



毎日、試合のあと、長嶋監督は電気を消した部屋に松井を呼び、

闇の中で素振りをさせた。スイングを見ずに、スイングを聴く。

素振りの本数は決まっておらず、いい音が出たら終わりにしたという。



闇の中に三十分もいれば、ほぼだれでも五感が敏感になる。



江戸時代の間に、出版物の文字は、灯火具の発達によって

やや小さくなったという。逆にいえば、出版物は昼間の明所視ではなく、

夜の暗所視で読むことを基準にして文字の大きさを決めていた。



海には人工の光がほとんどない。



参照:

『「闇学」入門』(中野純著/集英社)

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というわけで、

 

▼「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!

┌───────────────────────────────────┐

├○

├○   光を浴びすぎると、退化する。

├○

└───────────────────────────────────┘





最近はあまりないですが、

本当に疲れきったとき、

私は部屋の電気をすべて消します。



キャンドルの灯だけにするのです。



自分が闇に溶け込んでいく感覚は、

なんとも不思議な感覚です。



目の前のことばかり

考えてしまいがちな人にもおすすめです。

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