失言防止マニュアルから失言は阻止できるのか?

 

1.失言防止マニュアルとは何か?


国会議員の失言が相次ぎ、自民党が発表した失言防止マニュアルが世間を騒がせました。
レベルが低すぎる、専門家もあきれた、こんなことまで指摘しなければならないのかと非難を浴びましたが、いったい何が書かれていたのでしょうか。

 

1.1 失言防止マニュアル全文


自民党失言防止

出典:「タイトルに使われやすいワードに注意」自民党失言防止マニュアルのすごい中身
https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2019052500033_2

 

自民党配布失言防止マニュアル「失言」や「誤解」を防ぐには

  • 発言は切り取られることを意識する
  • 報道内容を決めるのは目の前の記者じゃない
  • タイトルに使われやすい強めのワードに注意
  • 取材対応の言葉使いを荒くしない
  • 誰もがスマートフォンで写真や映像を配信できることを意識
  • 日頃の言葉づかいを第三者にチェックしてもらう
  • 「弱者」や「被害者」に触れる際には一層の配慮を

といった注意点です。

 

1.2 失言防止マニュアルの何が問題視されたのか


石原良純氏が自民党”失言防止マニュアル”に異議あり!「政治家は言葉が武器」と橋下徹氏が語っています。

 


https://www.youtube.com/watch?v=3EzRHzHB1ZU

言葉は武器なのか?言葉は技術なのか?
技術であるならば磨いていけば上達していきます。
橋下氏は、「なにを聞かれても答えられるように。反応するような情報量がないから太刀打ちできない。聴いている方も、こいつはバカじゃないなと思われるようにしなければいけない」という趣旨のことを語っています。

言葉を操れない政治家は自分の首をしめることになる、
ということでしょう。
これはなにも政治家に限ったことではありません。

では、失言とはいったい、なにをもって失言と呼ばれるのでしょうか?

 

2.失言の定義とは何か


ではなにをもって「失言」とされてしまうのか、定義をみていきましょう。


言うべきではないことを、うっかり言ってしまうこと。また、その言葉。
出展:デジタル大辞典(小学館)

とあります。

似ていますが、「暴言」という意味も調べてみます。


礼を失した乱暴な言葉。無礼で、むちゃな発言。
出展:デジタル大辞典(小学館)

ここで見比べてみると、失言の背景に潜んでいる難しさがわかります。
「言うべきではないこと」というのは一体どんなことでしょうか?

それはどこを確認しておけばいいのでしょうか。
残念ながら失言防止マニュアルは、注意点を明確にまとめたものではありますが、
本質的な解決には至りません。

当人が、「言うべきではないこと」がどのようなことなのかが
理解できていないとどんなマニュアルも意味をなさないということです。

 

3.失言してしまう人の特徴5パターン


いったいどのような傾向にある人が失言をしてしまうのでしょうか?
具体的な事例もいれながら解説していきます。

 

3.1 人を見下す癖がある


マウンティングという言葉がありますが、人を見下したり、自分の方が上であるという思考パターンにある人は要注意です。言葉の端々にそのような傲慢さがでてきてしまいます。
これは次の自分都合の本音と合わさって発せられるパターンが非常に多くなります。

 

3.2 自分都合の本音が出る


「寝てしまってくれれば、いいんですけれども」森喜朗元首相の失言。
抜き取らずに言うと、
「まだ決めていないという人が40%いる。こういう人たちが寝てしまってくれれば、それでいいんだが、やっぱりそうはいかない」
ということだったが、やはりこれは言ってはいけない自分都合の本音が出ている発言であり、失言としてとられるわけである。

またこちらも現在は実業家・投資家である杉村太蔵氏が、
「これで念願のBMWが買える」「早く料亭に行ってみたい」「真っ先に調べたのは国会議員の給料です。2,500万ですよ」という失言。
当選からわずか2週間で謝罪会見を行う事態となりました。

 

3.2 例え話が下手


「女性は子供を産む機械」柳沢伯夫氏の失言。


「女性は15歳から50歳までが出産をして下さる年齢。『産む機械、装置の数』が決まっちゃったと。その役目の人が、一人頭で頑張ってもらうしかない」と発言した。

これは記憶に残っている人が多いのではないでしょうか。
何かに例えて、上手な話ができる人は尊敬されます。しかし、例え話が下手な人は要注意。なぜなら即、失言につながってしまいます。

 

3.3 内外の線引きが甘い

 

身内の会合や酒席で盛り上がるような『トークテーマ』には要注意とは、自民党の失言防止マニュアルにも書かれてありました。

「復興以上に議員が大事」桜田義孝氏。
自民党の高橋比奈子衆院議員の政治資金パーティーに出席し、「復興以上に大事なのは高橋さん」などと発言した。

この失言は、当然ながら東日本大震災で甚大な被害を受けた被災者の気持ちを傷つける発言であり、「言ってはいけないこと」である。
どんな場にいても、言ってはいけないことがわからないようでは、マニュアルが意味をなさないことがよくわかる。

とくに、身内だけにしか通用しない自虐的な発言で失脚している人が多いことも、政治家ではよくみられる特徴かもしれません。

 

3.4 想像力が欠如している

 

「子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」桜田義孝氏
「あっちのほうだったからよかった」今村雅弘復興相
「それで何人死んだんだ」松本文明 内閣府副大臣

想像力の欠如は、即失言に直結していきます。
世の中の温度感がわかっていない、自分都合の本音、傲慢さからくる
発言は世間の目が厳しくなるのは当然でしょう。

では次に、失言を誘発しかねないフレーズに注意する方法を
みていきましょう。

 

4.失言を誘発しかねないフレーズ

4.1 「やっぱり……」

 

 

この言葉に続く言葉は非常に危険な側面をもっています。
なぜかというと、そこに「本音」や「意図」が出やすいからです。

【やっぱり女性は運転が苦手?】トヨタがツイッターで投げかけたアンケートを、
謝罪して取り下げる事態となりました。

こちらは賛否両論となりましたが、「やっぱり、●●って▲▲だよね」
というなかに、どこか偏見じみた文脈が宿る危険性があります。

 

4.2 「うちは……」

 

「うちは大丈夫。よそは……だから」など、内と外の意識、なわばり意識が異様な形で働く思考にある人も注意したほうがよいです。
そこに自分のなかに潜む傲慢さや、自分都合の本音が出てきやすくなるワードになります。

 

4.3 「女性は……」「男性は……」

 

ジェンダーの問題はとくに注意が必要です。世の中の温度感が理解できず、
自分の世界観で言葉を発すると性差別という問題に直結してしまいます。

 

5.失言防止のための解決策

失言をしないために日々どのような対策をしておけばいいのでしょうか。
企業においては、長くは株価に影響しないとは言われていますが、一時的には
失言や不祥事によって株価にも影響するといわれています。

 

5.1 相手のキャラクターを理解する

 

相手がどんな人たちなのか?自分は誰に向けて話をしているのか?この話を聞く可能性のは、いったい誰なのか?という意識が欠けないようにしましょう。
ビジネスでいえば、お客さんはいったい誰なのか?ということです。
政治家の失言が多いのは、目の前の記者しか見ていないからです。その先にいる、
国民に意識を向けたときに、何を語るべきか?語るべきではないか?
の判断がつくはずです。質疑応答もコミュニケーションの一部ですから、自分の言いたいことを一辺倒に話していると相手を無視していることになりますのでトラブルのもと。
目の前にいる人はどんなキャラクターなのか?どんな職業なのか?何に関心がある人なのか?意識をそこに向けたときに、真のコミュニケーションが始まります。

 

5.2 自分のキャラクターを理解させる

 

自分がどんなことを考えている人間なのか?早い段階でそれをまわりの人間に理解してもらうということが大事です。なぜかというと、なにか自分が行動を起こしたり、意見するときに、「あ~、あの人ならそう考えるよね」「あの人らしい行動だよね」と理解してもらいやすいからです。「あなたらしさ」というのは個性でもあります。その個性やキャラを日頃から理解してもらうように行動することはとても重要です。
相手がストレスから解消されます。「らしさ」が全開ではないとき、あの人は何を考えているのかわからない、となってしまいます。

 

5.3 自分の中に潜む偏見を理解しておく

 

「言葉には色がついている」ということを忘れてはいけません。色がついているというのは、自分の価値観や偏見も含めたものが表現されるということです。表現の自由がある社会とはいえ、自分がどんな話題のときに、偏見がでてしまうのかということを意識しておくようにしましょう。とくに、失言マニュアルにもあったように、ジェンダーの問題などには要注意です。自分が何を考えている人間なのか、それを理解しておきましょう。

 

5.4 質問上手な人には注意する


質問上手な人はよく勉強している人。そのような人を前にしたときには、
真摯な態度で応じないとやり込められてしまいます。とくに政治家の失脚が相次ぐのは、勉強している記者たちの質問に真摯な態度でこたえきれないところにあるのではないでしょうか。相手の真意、本音を引き出そうとするプロたちには、自分の真意がえぐりとられるという意識でいた方がいいですね。ありきたりの質疑応答では太刀打ちできませんので、日頃から、自分を知る、自分の思考を知るというトレーニングが必要です。

 

5.5 本を読んで教養を深める


本を読んで勉強している人には語るべき語彙が豊富にあります。本を読んで教養を増やすとともに、言葉のバリエーションもたくさん持つようにしましょう。「目的」と「目標」、「信用」と「信頼」など言葉は似ていますが、意味が大きく違います。本を読んで学びを深めるとこのような差異にも気づいて、深い思考ができるようになります。わかりやすい比喩を語れない人は、本を読んで豊かな表現力を身につけることをおすすめします。