『宅配がなくなる日同時性解消の社会論』(松岡真宏著, 山手剛人著)/ 日本経済新聞出版社)vol.407
こんにちは、
本日の一冊は、
『宅配がなくなる日同時性解消の社会論』(松岡真宏著, 山手剛人著)/ 日本経済新聞出版社)です。
同時性、です。
今日のこの本は、
時代を読み解くキーワードだな
とつくづく感じました。
宅配という切り口からみた、
いまの時代の特徴が
しっかりとらえられています!
引用にも出てきますが、
バリューチェーンの効率化だけで
勝利できる時代は終わった、
ということです。
これはすべての経営者、
コンサルタントは目を通しておくべき
一冊だと思います。
時間と空間から、
誰も逃れられないのですから。
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『宅配がなくなる日同時性解消の社会論』(松岡真宏著, 山手剛人著)/ 日本経済新聞出版社)
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https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532321530/withup-22/ref=nosim商品の値段を「商品・サービスの原価と
企業側の適正利益の総和」と考えている限り、
現在の消費者行動を読み解くことは永遠にできない。キーワードは
「時間」「空間」「同時性」だ。ヤマト運輸にとって「宅配便」の
最大の荷主はアマゾンジャパンであり、
15~20%(数量シェア)がアマゾンからの
荷物であるとも言われる。筆者が考える宅配崩壊の根本的な
構造要因は、次の通りである。
(1)世帯構造の劇的な分散化
(2)スマホなどモバイル端末の「利用時間」の爆発的な増加
(3)これら2つを原因とした人々の「時間価値」の変化「時間資本主義」とは、現代において
価値が高まっている「時間」をある種の
「資本」と捉えて、経済や社会の
流れを見る新しい試みでもある。商品やサービスの価値は、
その「効用」だけで決まるのではなく、
「時間当たりの効用(=効用÷時間)」
を変数とする関数へと変わったのである。「効率化」とはすなわち、分子である効用を
一定としたうえで分母の所用時間を
最小化するアプローチである。
「快適化」はその逆で、一定の時間制限の中で
得られる効用を最大化しようという試みでもある。要するに宅配業界における再配達の問題とは、
荷物を届けるドライバーと受取人の
両者が同じ時刻に同じ場所(宅配先の玄関)
に居合わせなくてはならないという
時間と空間のマッチングの問題だ。加えて、物流という河川の上流域に
おける水量(モノの流通量)の増加に
対応するためには、生産者と消費者の間にある
時間と空間のギャップを埋めるための
「ダム」が必須となる。
要するに物流倉庫のことである。そもそも、他人と同じ時空を共有するという
「同時性」状態を作るのは、
多忙な現代人にとって簡単なことではない。人と人のコミュニケーションにおいて
「同時性解消」型が多くなってくるとは、
人々の会話やメッセージが、
スマホなどの情報機器の中に
“在庫化”されることを意味する。送られてきた情報は在庫化されて
優先順位付けされるために、
発信能力の乏しい人の情報は無価値になる。しかし、一方で、「同時性解消」によって
新しい業界覇者が突然出てくることも
事実であり、企業経営に携わる者は
すべからく、この視座を忘れてはならない。「同時性解消」というプロセスが
産業に与えるインパクトが大きいのは、
製造業よりもサービス業である。米国では、2018年までには、
患者と医療施設とのやり取りの65%が
モバイル機器で行われるようになるらしい。
これも一種のセルフサービス化である。「同時性」をうまく制御することこそが、
時間資本主義における最も望ましい生き方なのである。ファーストリテイリングはこれらの
事業革新を通じて、従来の「製造小売業」
から転じて、自らが「情報製造小売業」
に変わっていくことを標榜している。
同社が目指す方向性は、
「バリューチェーンの効率化で勝利できる
時代は終わり、時間価値を高める企業が勝つ」
という本書の主張にも似ている。すきま時間は、時間のロングテールである。
今まで卸売業や小売業に支払われていた
リベートや広告宣伝関連コストは、
徐々にダッシュ・ボタン獲得のための
支出に切り替わり、アマゾン対策コストとして
メーカーの損益の負担となる。AIや機械は、物語性を背負うことはできない。
(略)「動機付け」というキーワードは
人間に残された重要な役割であり続ける。参照:
『宅配がなくなる日同時性解消の社会論』(松岡真宏著, 山手剛人著)/ 日本経済新聞出版社)
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というわけで、
▼「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!
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「同時性」を解消できるとしたら、
どこから切り込みますか?
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北米地域におけるアマゾンの物流施設
面積は、東京ドームの200個相当
とのこと。
これは日本国内にある、
すべてのコンビニ(約5万4000店)の
総面積とほぼ同じ広さだそうです。
アマゾンにはお世話になっていますが、
日本企業もがんばってほしいなと思います。