『医療鎖国 なぜ日本ではがん新薬が使えないのか』中田敏博著 vol.108
本日の一冊は
『医療鎖国 なぜ日本ではがん新薬が使えないのか』
中田敏博著です。
鎖国、です。
本日はいきなり本題です。
もっとも、昨日気にかかったニュースは、
http://bit.ly/ljqJWs
です。
武田薬品、スイス製薬大手を買収交渉 1兆円。
過去3番目規模というもの。
医療関係者がまわりに多いということもありますが、
アンテナにひっかかりました。
※Vol.64高収益で不安定な業界構造の謎に迫る。
http://www.shirayu.com/letter/2010/000122.html
で、
冒頭の鎖国の話。
今日の著者はすごい!
医学部卒業後、医師となり、その後
MTI(マサチューセッツ工科大学)でMBAを取得。
医師にして医療分野のベンチャーキャピタリスト!
100億円規模のベンチャーキャピタルファンドの運営者です。
警世の書ですが、
脅しやまやかしではなく
きちんとその対応策についても書かれています。
いかにわれわれが公表されているデータの
巧妙な罠にはまっているかがわかります。
過激な言葉も散見されますが
医療業界の方以外も、必読!
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『医療鎖国 なぜ日本ではがん新薬が使えないのか』(中田敏博著/文藝春秋)<Amazonで購入>
http://amzn.to/mIihBM医療において、単純な一元的問題は存在しない。
大部分は、コインの裏表に対立軸がある。無駄な公共事業を減らすという報道があると
国民的関心は大きく盛り上がる。
しかし、その予算規模はせいぜい数兆円だ。
対して、医療は年間三五兆円の財政規模だ。我々の先入観とは大きく反して、次が真実だ。
一 日本は極めて医師不足である
二 日本の医療給付費は先進国中最も低く、厚労省の医療費の予測は大きすぎる
三 政府は自らの医療費負担を減らし、国民に押し付けてきた
四 長期入院の最多原因は高齢者ではない
高齢者の入院を強引に是正することは、大きな社会問題を引き起こす
五 日本の先端医療技術へのアクセスは発展途上国レベルである
六 メタボ対策の医療費削減効果はなく逆にコスト増を引き起こすよくよくその調査を調べてみると、日本の医師数の
カウント方法が他国と異なっていることが判明した。国保の加入者数は二〇三三万世帯・三九〇〇万人いて、
もともとは企業雇用からもれた自営業者と
農林水産業の為の保険であった。しかしながら、
いまは無職の人の為の医療保険だといっても過言ではない。低成長時代では、制度改革はゼロサムゲームである。
何かを変えようとすることは必ずどこかの既得権益に
切り込むことになる。だから、現状維持路線に落ち着いてしまう。米国では国民の自己破産の理由の六割以上が
医療費によるという、驚くべき事実がある。米国では、自分の加入する保険会社が提携する
医療機関しか受診できない。
提携外期間だと大きな差額を徴収される。医療にはもう一つ経済学上の逆説が存在する。
通常の産業領域の技術革新はコストを削減する効果があるが、
医療技術の領域では、例外的にコストは増大する方向にしか働かない。イノベーションを尊ぶ米国の医療産業はITと並び
米国経済を牽引する主要産業としての位置を占めている。
医療産業が株式市場の時価総額に占める割合は
二割ほどであり、まさに一大産業だ。国債がこれだけ膨れ上がった原因は何か。
犯人は二人、税収減で歳入が減ったこと、
社会保障支出が増えたことである。実際、一九九〇年からこの二〇年で税収は二一一兆円減り、
社会保障支出は一四八兆円増えたのだ。重ねて言うが、国家財政の健全化イコール
社会保障のありかたなのだ。意外なことに、私たちの箱モノ・自前主義は、
今の医療崩壊の最大の要因の一つなのだ。慢性病の時代に必要なのは、急性期の入院加療と
維持期の外来診療を変動的に組み合わせるチーム医療だ。大手企業は、自前の研究開発組織による
イノベーション創出を半ば諦め、ベンチャー企業の買収や
提携でそれを行おうとしている。仕事で日本を離れていつも感じるのは、
日本人の最大の強みは適応力だということだ。
(略)問題は、正しい状況認識を始めるきっかけを
いかに早く得られるかだ。参照:
『医療鎖国 なぜ日本ではがん新薬が使えないのか』(中田敏博著/文藝春秋)
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というわけで、
●「共感・意外性・感動」の法則を解き明かす!
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気づいたからには、突き進む。
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今回は、本当に長い引用でしたね。
お忙しいところすみません。
まだまだ引用したいところがありましたが、
お時間のあるときにでも
『医療鎖国』を読んでもらえればと思います。
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私の好きな言葉の一つ。
チームというキーワード。
これは、業界をこえて
必要なことですね。